「悪気はなかったんです。まさかあんなことになるなんて…」
私はただ悔いるしかなかった。彼の彼果てた姿を見てしまった時、それはもう手遅れで、何をしても彼の命は助かることはない。あれだけ元気に背を伸ばしていた頃が懐かしく、まさかその頃は、彼がこんな姿になるとは思いもよらなかったのだ。白さが似合うその肌からは、黄色い液体が流れ出てきており、体も折れ曲がってしまっている。どうしてこんな姿になってしまったのだろうか。 その日は朝から部屋が原因不明の臭気に包まれ、それはきっとキッチンのディスポーザーからの臭いだと勘違いし、パイプユニッシュと換気扇と消臭プラグを総動員させてキッチンの香りを森の香りにすることに成功した。しかし、その結果に満足し、それを止めてしまい風呂に入ったことが今回の事件の解決を早めたのかもしれない。風呂からあがり部屋に戻ると、部屋は再び朝感じた臭いと全く同じ不可解な臭いがするのだ。そういや昨日とんこつのカップラーメン食ったし、仕方ないかと思っては見たものの、流石に今までにない臭気であり、おおよそ日常生活に支障をきたしてしまいそうだ。早期に原因を突き止めなければならない。 彼と出会ったのはほんの1週間前であったろうか。それとも2週間前であったろうか。今となってはもうどうでもいいことだが、今までの生活の中で彼がこれほどにまで短命に終わってしまったのは初めてであり、これはやはり引っ越したことと何か関係があるのかもしれない。 確かに最近は外食やインスタント食が多く、家に帰ると無気力な生活をだらりだらりと続けている。生きることは嫌いではないが、ハリのある生活ということが少々苦手に感じている今日この頃で、体調も思わしくない状態が続いていることも確かだ。まずは2時頃にならないと眠くなってこないこの体質を変えなければならないのだと思うが、なかなか家事をしてもしなくても、1時に寝ることすら難しい。昔より確実に帰宅時間は早くなっているはずなのに、生活が非効率的なのだろうか。 だから彼と出会ったものの、暫くほっぽってしまったことは否めないのである。この間、彼はどれだけの孤独に耐えたのだろう。また、別の仲間たちと親しくする私を見て苛だっていたのかもしれない。彼はきっと、最後の主張を、自分の命と引き換えにしていったのである。 その臭いの発生源は確実にキッチンの近くであった。それもそのはず、キッチン以外で臭いのする箇所と言ったら洋服箪笥か私のおならくらいのもので、その方向からの臭いは一切しない。私は首をかしげながら電子レンジを使い、今日の夕飯のレトルト食品作りに勤しんだ。と、その時である! あー、すっかり忘れてた。長葱が腐ってますよー。 東急ストアでセールをやっていた、1本50円の長ネギですよー。 身はしっかりしていたので、結構もつと思っていたのになー。 ・・・・・・・・・・ ガッカリ。 2本買って、1本は買った日に使ったのですが、もう1本はとっておこうと思ったのが運のつきでした。その後度重なる外食で、自分の家で食事をする機会を失い、いつの間にかその存在すら忘れていました。ああ、こうなるんだったらあの時2本使ってりゃー良かった。一緒に買ったピーマンは何とか生き残ってます。 全くもって野菜の賞味期限は気まぐれです。納豆は1週間ぐらいなら平気だったり、卵なら加熱調理すれば1ヶ月くらいは平気だったりするんですけどね。あ、でも牛乳だけはやめておいたほうがいいですね。過去に賞味期限の翌日に飲んだら味が違っていて、すぐさま口を離したのですが、その後お腹を壊しました。 それにしても、節度ある買い方をしないといけませんねぇ。肉はラップで包んで冷凍できるので買い溜めしてもあまり支障はないのですが、野菜だけはどうしようもありません。食べ物を大切にしようと改めて思った今日この頃、皆さん如何お過ごしでしょうか。私は明日の朝気持ちよくおきれないだろうをいうことも今から想像してしまっているので、非常にげんなりしています。
by hidemite
| 2006-06-12 02:34
| 詩・小説
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